〜アメストリス〜
中央の仕事を終え、手掛かりを見つけるために旅をしている兄弟がいた。
弟は巨大な鎧だが、中は空洞だ。
兄のほうは、普通の少年に見えるが、右手と左足が機械鎧となっていて、背は小さい。
黒髪の上司から地図を渡されたが、どこにもそれらしきものはなかった
「うがああああああああああああああ!!大佐の野郎おおおおおおおお!騙したなああああああああああ!!」
そこには、大量の山賊が倒れている風景があった
「まんまと利用されちゃったね。兄さん。」
「なあああああにがこいつらが賢者の石を持っているだあ!宝石しかみつからねーだろおがあああ!」
「でも一応貰っとくんだね。」
「なあああああに、手紙では貰うなとは書いてないんだ。もらっとけもらっとけ」
そこらへんの布を袋に錬成して、悪い顔でにやけながら宝石を袋に詰めていく。
鎧はあきれそうに溜息を吐いて、苦笑いをしながら盗賊のような兄を見つめた
「うがああああ!重!!おいアル!ちょっと手伝え!」
その宝石の量に、少年は一歩も持ち運べない様子だった
「・・・・・・・まてよ」
またいやらしそうな顔をしている。
「ちょ・・・・に・・・兄さん?」
鎧は嫌な予感がした
「おいアル!お前の体の中に入れるぞ!」
「えええええええ!?いやだよそんなの!」
「何だよ減るもんじゃなしい」
「減るよ!!特に僕の体積が!!」
そのとき、乱暴にドアが開く音がした
「・・・・・・・何をしているのだ鋼の」
その男は、少年が最も嫌いなあの黒髪の男だった
「あっいや――――なんでもない・・・・・いや異常なし!!」
少年は鎧に早く行けとジェスチャーで伝えた
「・・・・・・アルフォンス君」
「はいいいいい!?」
鎧は固まった
「その君の中に聞こえる音は何かね?」
鎧は、かなり動揺している。
「え――――っとこれは・・・・・・・猫です!!」
「ずいぶん堅い猫だな」
「え―――――っと・・・・・・・猫型ロボットです!!」
「かなり細かくて多いな。300匹はいるんじゃないか?」
「え―――――――・・・・・」
もうごまかしきれないと少年に必死にジェスチャーで伝えようとしている鎧。
それをみて少年はある行動をとった。
「アル・・・・・」
少年は鎧に近づき
「兄さん・・・・・・」
「「ダッシュ!!!!!」」
急いで脱出しようとしている二人だが、鎧のほうは重くてうまく動けない。
「兄さああああああああああああああああああああん!!」
「がんばれ!がんばるんだ弟よ!!」
後ろから火柱が立った
「うお!!!」
少年はかろうじて避けたが、通路が一つ塞がった
「大佐あああああああ!殺す気かあ!」
「はやくその宝石を渡せ。それは持ち主に返さなければならん」
少年は黒髪に向かって舌を出した
「だったら俺らを騙した賠償はどうなんだよ!!」
「君に借りを作ってあったはずなんだが?」
「うるせええええええええ!!」
「兄さん・・・・・・・・」
鎧は本気で呆れている。今までよりも今この時が一番呆れているだろう。
少年は、避けながら進んでいくうちに、外に通じる扉があった。
「やっとゴールだ!!」
少年は黒髪に勝ったとはしゃいでいたが、
鎧は全く嬉しくなかった。
今、自分たちがやってることはあきらかに「悪」なのだから。
その扉をあけると、
「・・・・・・うわあ・・・・」
あまりの大きさに驚いたのか、一瞬で止まらなかった足を止めた。
「入る前にこんな木あったっけ?」
「いや・・・・・無かったはずだ・・・・」
かなり理不尽な出来事であったか、
二人は全く恐怖を感じなかった。
『・・・・・・・・た・・・・・す・・・・・け・・・・』
「ん?アル。なんか喋った?」
「え?喋ってないよ?」
その声は、高い声で女性みたいな声だったか、確かにアルの声ではなかった
「追いつめたぞ鋼の」
いつのまにか真後ろには大佐が立っていた
「あああああ!!忘れてたああああ!!」
大きくて美しいたった一本の木に見とれていて、この男のことなど、ふたりとも忘れていたらしい。
「さあ。渡してもらおう」
「ちっ・・・・・・!」
多分この時は、大佐は本当にこの宝石を中央に保管するつもりでいるのだろうが、渡す方が正解だと思ったが、
渡したらこの男に負けるような気がして、渡せなかった。
『たすけろ』
「え?」
やさしい声から鋭い声に変貌して、この理不尽の方が恐怖を感じた
「うわあ!!??」
急に木が光っていた。
同時に体が何かにむしばれていた。
体がどんどんなくなっていく
「この感じ・・・・・・・」
まるで、過去に体験した、人体錬成を行っているような感覚だった
「なんだこれは・・・・!?」
黒髪の男の体もどんどん体が消えていった
「兄さん!!」
「アル――――――!!」
手を伸ばす前に、体が全て消えていった。